米規制委、10日から一部閉鎖 原子力施設での緊急時には職員を呼び戻し

米国では今月1日から2014会計年度(14年9月まで)が始まったが、議会両院が暫定予算案で合意できなかったことから、米原子力規制委員会(NRC)もその他の連邦機関と同様、10日から一部の業務を停止せざるを得ない状況となった。ただし、原子力関連施設等で発生した緊急事態が追加のNRC職員による対応が必要となった場合は、特定のスタッフを自宅待機から解いて直ちに対応に当たらせる計画で、NRCとしては原子力施設における安全・セキュリティ業務に支障のない点を強調している。

1日から9日まで概ね平常通りの業務継続を可能にしていた前年度の繰越予算が底をつき、NRCは緊急性の薄い原子炉許認可や認可更新手続き、緊急時対応演習、設計認証、規則やガイダンスの策定業務が実行不能になったと9日付けのブログで発表。その週以降に予定していたすべての公聴会を延期もしくはキャンセル扱いとしたほか、原子炉許認可手続きにおける使用済み燃料の環境影響評価で必要な規則となる「廃棄物保証」の改定審議も延期している。

同様に停止した業務として、核物質や廃棄物に関する通常の検査や許認可などを挙げたほか、ウェブサイトでの情報の更新を特定。一方、ユッカマウンテンでの最終処分場建設認可関連活動は放射性廃棄物基金からの予算充当であるため、例外的に継続されているとした。

9月末に予め公表していた閉鎖時の対応計画どおり、NRCは職員3900名のうち、本部の管理職など約300名を緊急時対応に必要な自宅待機からの除外職員として温存。このうち約半数が原子力発電所や燃料施設の常駐検査官で、残りはこれら施設で緊急時の初期対応に当たる要員。また、A.マクファーレン委員長以下、4名の委員達、および検査総監など大統領が任命した職員も自宅待機要員から除外されている。

NRCは独立の立場を有する連邦機関であり、運営予算の90%は原子力許可取得者や許可申請者が許認可手続きの際、NRCに支払う手数料。しかし、これをNRCが直接手にすることはできず、徴収した手数料は一旦、財務省に振り込まれ、議会がNRC予算として承認して初めてNRCに割当られる。2013会計年度でのNRCの予算権限額は原子炉安全プログラムにおける7億5000万ドルを含めて合計9億8560万ドル。このうち90%の8億6400万ドルが手数料収入で回収されている。


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