2017年末に完了へ 英国でのABWR設計審査

英国の原子力規制局(ONR)と環境庁(EA)は9日、包括的設計審査(GDA)における昨年12月から今年8月までの経過報告書を公表し、日立GEニュークリア・エナジー(HGNE)社のABWR設計審査が本格審査の開始から4年後の2017年末には完了する見通しであることを明らかにした。

英国政府が進める原子炉新設計画では、採用設計の認証制度であるGDAを受けることが不可欠で、これまでに仏アレバ社の欧州加圧水型炉(EPR)のみが設計容認確認書(DAC)を取得。ウェスチングハウス(WH)社製AP1000では11年に暫定DACが発給されたものの、同社は英国で採用顧客を確実に確保できるまで審査を進めない方針であるため、作業は中断している。

HGNE社のABWRはウィルファとオールドベリー両原発サイトに建設される予定で、今年4月からONRとEAがGDA審査を開始。第1段階としてHGNE社が安全性や環境・セキュリティ関係の文書を提出したほか、詳細な技術情報交換のため、ONRらがHGNE社の製造工場や国外で完成間近のABWR建設サイトを視察した。こうした準備作業の順調な進展を受けて、HGNE社はこの10月から12月にかけて技術文書を提出予定。ONRらも審査の準備段階を終えて、来年初頭から第2段階である本格的な評価作業が開始可能になるとしている。

ONRによると、これまでに完了したEPRとAP1000の技術課題審査などから様々な教訓が得られており、HGNE社が英国の規制要件を満たしたABWR設計の包括文書を揃える上で助けになった。これにより評価プロセスの効率性も上がり、EPRで4年半かかったGDAの本格審査が、ABWRでは4年で済む可能性が高いと説明している。


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