米越が原子力協定調印 ベトナム市場は500億ドル規模に

米国務省(DOS)は10日、ベトナムと二国間の原子力平和利用協力協定(123協定)に調印したと発表した。両国間で原子力技術や核物質および関連機器の移転を可能とする法的枠組となるもの。米大統領と議会の承認をもって、ベトナムが2030年までに計画する1000万kWの原子力発電設備建設に米国企業が参加していく機会が開かれる。

同協定への調印は、オバマ大統領に代わって東アジアサミットに参加するためブルネイを訪れていたDOSのJ.ケリー長官とベトナムのミン外相が同国の首都バンダルスリブガワンで行った。ケリー国務長官は調印直後の会見で「東アジアにおける原子力市場としてベトナムは中国に次いで大きい」と強調。現在100億ドル規模のベトナム原子力市場が、2030年には500億ドルまで拡大する可能性があると指摘した。

ベトナムはさしあたり2020年以降の初号機完成を目標に、南部ニン・トアン省の第1サイト(フォック・ディン)にロシア型PWR(VVER)を2基建設することで09年にロシアと正式な契約を締結。第2サイト(ビン・ハイ)に建設する2基については10年に日本政府と正式合意し、13年1月に訪越した安倍首相が同国への原発輸出を再確認している。

米国とは07年に米エネルギー省(DOE)とベトナム科学技術省(MOST)が原子力平和利用における情報交換・協力取り極めに調印。ベトナムは1982年に核不拡散条約(NPT)に加盟したほか、90年に国際原子力機関(IAEA)との包括的保障措置協定が発効、07年には同追加議定書に署名するなど、米国の123協定の要件をクリアする態勢が整ったと見られている。


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