英中が原子力協力覚書 中国、英国の新設計画に投資へ

英国財務省のG.オズボーン大臣は17日、民生用原子力分野における協力で了解覚書を中国政府と締結したと発表した。英政府が進める次世代の原子力発電所新設計画に対する中国企業の資本参加を許可する方針を示したもので、将来的に同国が新設原発の大株主となる可能性にも言及している。

英国の新設計画では日本の日立製作所がホライズン社を買収。東芝によるニュージェン社株購入への動きも伝えられる一方、中国が高度に機微な原子力部門に参入することについては一部の英国議員から情報セキュリティの点で制限が必要との声も上がっていた。しかし、原子炉の新設では資金調達が重要ファクターの1つであり、投資に関心を持つ国には広く門戸を開いていくことになったと見られている。

今回の覚書締結は、英中両国の経済・財務協議の一環として結ばれており、オズボーン大臣の5日間の訪中における最重要項目。英国財務省のデイトン商務相と中国国家能源局の許永盛・副局長が北京で調印したのを受け、オズボーン大臣が訪中最終日に視察に訪れた広東省の台山原子力発電所建設サイトで公表した。

同サイトでは現在、中国広核集団有限公司(CGN)が仏電力(EDF)の協力を得て世界初の仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を2基建設中。今年2月にヒンクリーポイントC建設計画から英国籍のセントリカ社が撤退した際は、CGNが資本参加する可能性に関して協議を行ったという。CGNはまた、ホライズン社の購入についても関心を示したと伝えられていた。

覚書は原子力関係の投資や技術、建設および専門的知見における協力の戦略的枠組を設定する内容で、英国の原子炉新設計画に対する中国企業の投資支援のみならず、英国のロールスロイス社や核物質管理専門のインターナショナル・ニュークリア・サービス(INS)社、エンジニアリング企業であるモット・マクドナルド社等が中国の大規模な新設計画に参入することも保証。この関連で、英原子力デコミッショニング機構(NDA)の子会社であるINS社は同じ週に中国核電工程有限公司(CNPE)と協力覚書を交わしており、放射性廃棄物管理における英国の経験を共有するとともに、10月下旬から英国で中国人技術者の初期研修活動を開始することを明らかにした。

英国エネルギー省のディビー大臣は、英国の厳しい原子力安全・セキュリティ基準を満たしている限りは、いかなる国からのどのような投資も歓迎するとの見解を表明している。


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