未臨界炉のインフラ技術設計を発注 ベルギー

長寿命放射性核種の破砕研究を実施しているベルギー原子力研究センター(SCK・CEN)は11日、世界でも初の加速器駆動・未臨界炉となる「MYRRHA」(=イメージ)に関し、設備インフラの技術設計を仏アレバ社の率いる企業連合に発注したと発表した。

MYRRHAは高経年化したベルギーの研究炉「BR2」のリプレースという位置付けで、熱出力は5〜10万kW。600MeVの陽子加速器を使って核分裂反応を維持し、冷却材として液体の鉛ビスマス合金を使用する。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の装荷が可能で、未臨界という特性上、核分裂反応のコントロールが容易な多機能研究炉として、2024年から25年にかけて本格運転に入る予定だ。高レベル放射性廃棄物に含まれるマイナーアクチニドなど半減期の長い核種の変換に有効であり、スイスや日本でも同様の加速器駆動システム(ADS)の開発研究が進められている。

原子炉本体の設計はすでにSCK・CENの専門チームが実施中であることから、今回の契約は原子炉と粒子加速器を除くすべてのインフラ要素の技術設計に関するもの。過去2年ほどの選定期間を経て、原子炉と加速器の建屋や冷却系、および計装制御(I&C)系の設計作業をアレバTA社、イタリアのアンサルド社、およびスペインのエンジニアリング企業集合体であるEAに委ねることになった。

契約総額は2400万ユーロで、具体的な作業項目は原子炉の投資・運転コストの見積や性能目標の確証、運転認可手続きの準備、詳細なプロジェクト日程の確定など。同企業連合のリーダーであるアレバ社が技術調整、設計全体の管理、機器の設置や安全性、計装制御について調査を担当するため、契約額の半分以上を取得することになる。


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