再生エネへの助成終了を要請 欧州のエネ企業10社が声明

欧州の大手電力・エネルギー企業十社のCEOが11日に共同声明を発表し、再生可能エネルギーに対する助成を終了するよう欧州の各国政府に訴えた。EU指令に基づき、2020年までに再生エネの発電シェアを20%まで引き上げるとした各国政府の再生エネ支援計画は、原子力などの低炭素電源の拡大抑制につながっていると指摘。エネルギー問題が取り上げられる来年初頭の欧州理事会に先立ち、現在のエネルギー政策の欠陥是正を域内の政策立案者達に求めている。

同声明を発表したのは仏国の電力・ガス企業のGDFスエズ社、ドイツ大手のE・ON社とRWE社、スペインのイベルドローラ社、イタリア電力公社、スウェーデンのバッテンフォール社などで、これらの発電設備の総計は欧州全体の容量の約半分に相当する。

声明によると欧州では再生エネの多くが依然として化石燃料より割高。EU加盟各国は09年4月に採択された再生エネに関するEU指令目標を達成するため、市場価格を上回る固定価格での送電網優先接続など、同エネルギーへの投資を倍増する様々な支援計画を整備した。その結果、太陽光と風力による発電電力が多量に市場に追加され、容量はオーバー気味。すでに成熟したこれら2産業には、もはや助成金は必要ないというのがCEO達の認識だ。

彼らはまた、待機用発電設備の保持経費が電力会社に支払われるような欧州全体の容量メカニズム構築をEUに対して要請。天然ガスや原子力といった低炭素電源の拡大を支援する炭素排出抑制計画の促進を求めている。CEOグループの考えでは、EUのエネルギー政策は(1)電気代の削減(2)炭素の排出量抑制(3)エネルギー供給保証――という3目標の達成に失敗。今春、ブリュッセルで初めて集合した同グループはそれ以降、再生エネへの支援計画を見直しており、現在の政策の変更を目的とするロビー活動をECおよび各国政府に対して展開してきた。

GDFスエズ社のG.メストラレCEOは「欧州のエネルギー政策は行き詰まっている」と断言。過去4年間に国内消費者のエネルギー料金が17%、事業用の料金は21%上がったと指摘しており、今日の不条理な状況を生んだ再生エネへの大規模な優遇措置を終了し、既存設備の経済的な操業を可能とする政策の必要性を訴えている。


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