放射線計測の向上に 京大など 発光プラスチック改良

京都大学の原子炉実験所や放射線医学総合研究所、クラレの研究者からなる研究チームは16日、放射線によりプラスチックで生じた光の挙動を超高純度化により大幅に改善したことを発表した。

放射線により光を生じるプラスチックは、素粒子・原子核実験から福島県での除染作業時などの放射線計測に至る、様々な分野で幅広く使用されている。そのため、放射線により発する光の挙動をよく詳しく理解することで、高い信頼度で放射線・放射能を測定できる。

同研究チームは、そのプラスチックの1つとして知られているポリスチレンを超高純度(99.9%以上)で製造し、放射線により生じた紫外光の伝搬距離を、一般的に使用されているポリスチレンと比べ数十倍以上増長することに成功。また、この紫外光の伝搬を詳しく把握するためには、長波長のナトリウムのD線で値付けされた屈折率では不十分であることを示し、放射線により生成された光の波長分布を考慮した「有効屈折率」を提唱した。この有効屈折率を使用することで、信頼性・精度の高い測定が可能になるという。

これらの知見は、光の伝搬等、放射線計測機器の設計の基本的な部分の精緻化に大いに寄与するもの。

特に、素粒子・原子核実験といった基礎科学分野での利用から除染作業に至る幅広い分野で使用されているファイバー型の特殊なプラスチック(シンチレーションファイバー、ウェブレングスシフターなど)による放射線・放射能計測の精緻化、高度化に効果を発揮するものとして期待される。


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