ヨルダンが原子炉導入計画のメーカー選定 ロシア製PWRを2基建設へ

ヨルダン国営のペトラ通信は28日、同国政府が初の原子力発電所建設の発注先としてロシアの原子力総合企業ロスアトム社を選定したことを伝えた。2020年代に国内電力需要の12%までを賄うため、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基建設。三菱重工業と仏アレバ社の合弁事業であるATMEA社も最終候補に残っていたが、100億ドルと言われる建設費の49%出資を約束したロシアの操業・資金調達提案が最終的な決め手になったとみられている。

建設サイトは首都アンマンから東に85kmの砂漠地帯に位置するザルカ地区のアムラを予定。ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が原子力技術を提供するほか、ルスアトム・オーバーシーズ社が戦略パートナーとして完成原発の操業を担当するが、建設に際しては原子炉の冷却に必要な水資源の確保をヨルダン側に要請している。

現地の報道によると、ヨルダン政府の担当大臣3名と原子力委員会のK.トゥカン委員長が同日に記者会見を行っており、2023年の初号機完成を目指してヨルダンとロシアの両政府はほどなく100億ドルの建設プロジェクトで協定を締結する段取り。最初の2年間でサイトの詳細な調査や送電網等のインフラ整備を行い、次の段階で両国は建設契約を結び、建設工事を開始する。ヨルダンとロシアの建設出資比率は51対49だが、最終的な資金調達オプションは今後の交渉により、トルコのアックユ計画と同じく、「建設・所有・運転(BOO)」方式になると見られている。

ヨルダンは中東地域に位置しながら天然資源に乏しく、エネルギーの97%を輸入。原子力をエネルギー・ミックスの一部に加えることで国内経済の成長に役立てるとともに海水の淡水化にも活用する方針だ。

発電炉の建設に先立ち、熱出力0.5万kWの韓国製・研究訓練用原子炉をヨルダン科学技術大学内に建設するため、原子力規制委員会は8月に建設許可を発給。韓国原研と大宇建設が建設費の1億3000万ドルのうち7000万ドルを低金利融資することで合意に達していた。


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