ミューレベルク原発を前倒し閉鎖 スイス

スイスのBKW社は10月30日、同社の操業するミューレベルク原子力発電所(KKM)(BWR、39万kW)を予定より3年前倒しの2019年で閉鎖する方針を発表した。長期運転に伴う事業リスクを軽減するために下した判断だと説明しており、今後は水力や風力などの設備拡大や新たな革新的技術によるエネルギーの生産・サービスに投資していくとの考えを示した。

KKMは1972年に運開していることから、連邦政府が福一事故後に決定した「国内5基の既存炉は運開後50年で順次閉鎖」という政策どおりに行けば22年まで運転が可能だった。しかし、周辺の反対派住民がKKMの炉心シュラウドにヒビがあるとして提訴。法的な争いが最高裁まで及ぶなど、同炉の運転期間は二転三転した。

こうした背景からBKW社は同炉を長期間運転することに関して規制上の側面のみならず、技術的、経済的、政治的な面から熟慮。運転を続ければこれらの側面における不確定要素が経済リスクを増大させる可能性がある一方、閉鎖を早めることにより財政資源を新たな代替設備や革新的エネルギー技術に投入できるとし、6年後の閉鎖を決めたとしている。

閉鎖までの期間、BKW社はKKMの設備改善計画を実施する考えで、運転・維持関連で投入する金額は約2億スイスフラン。このうち約1500万フランを冷却水の供給や燃料貯蔵プールの冷却システム対策といった臨時の設備改善に投入する予定で、スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)も同計画について審査することになる。


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