健康影響判断など提言 規制委、住民帰還 個人の被ばく線量で評価

原子力規制委員会の専門家チームは11日、原子力災害に伴う避難住民の帰還に向けた基本的考え方を概ね取りまとめた。国際的知見も踏まえた線量水準の考え方、個人線量に着目したきめ細かな健康管理のあり方を科学的見地から述べた上で住民帰還に向けた今後の取組について、関係省庁に対し提言するもの。

現在、避難指示解除要件の1つとなっている「年間積算線量20mSv以下」については、住民帰還に当たって必須の条件に掲げ、同時に、長期目標として個人が受ける追加被ばく線量が年1mSv以下となることを目指し、避難指示解除後の住民の健康確保、放射線への不安対策をきめ細かに示すべきとしている。

また、住民の健康影響判断に際し、空間線量率からの推定ではなく、個人線量計で直接実測された被ばく線量により評価することを基本とし、生活や行動のばらつきも考慮しながら、一律の対策ではなく、個々の住民に着目した対策を講じることが重要だとしている。

これらを踏まえて、原子力規制委員会は、原子力災害対策本部の一員として、今回の基本的考え方のなかで、住民帰還に向けた国の取組として、「避難指示区域等の市町村の主体性を重んじた復興支援」、「帰還後の住民の生活設計に資する取組」、「避難を継続する人、避難区域外で放射線に対する不安を抱えている人への対応」、「帰還を選択する住民と選択しない住民との間など、異なる状況に置かれた住民間で軋轢が生じないような丁寧な取組」、「福島第一で働いている作業員の安全確保や健康管理」を提起した。


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