バックエンド問題対応も必要に 三法交付金制度 福井県立大・井上氏の見解

井上武史・福井県立大学地域経済研究所講師は、電源三法交付金制度の展望について、10月29日の原子力委員会で説明した。

電源三法交付金は、立地のメリットを補完してきた70〜90年代、長期運転のメリットを補完してきた90〜00年代、交付金の増額や新規枠組みなど新たな政策へ対応してきた00年代〜現在などと、時代ごとの機能の変遷を井上氏は説いた。その上で、こうした中、電源三法交付金制度の問題点として、特別会計の剰余金蓄積や外部統制の難しさや利益誘導過剰による依存などを挙げ、原子力発電所立地地域との関係が深まった一方で国民との関係が薄まったこともその1つであるとした。

また、同制度の展望としては、今後のシナリオが原子力発電が「拡大」「維持」の場合は使途の拡大や地方移管など既存の課題を、「縮小」「廃止」の場合は廃炉交付金や立地地域への経済支援関係などの新たな課題に対応していくこととなるとした。井上氏は、今後、いずれもバックエンドへの対応が課題だとしたほか、根本的には原子力政策に対する社会的合意の問題となることから、電源開発促進税への理解を得る工夫や、これを財源としない交付金の検討も必要になると述べた。


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