ハンガリーからHEUを排除 米エネ省

米エネルギー省(DOE)は4日、核兵器に転用可能な高濃縮ウラン(HEU)をハンガリー国内からすべて取り除くことに成功したと発表した。

世界中に残存する悪用されやすい核物質をすべて防護すべきだというB.オバマ大統領の2009年のプラハ演説に基づくもので、米国がハンガリー、ロシア、国際原子力機関(IAEA)の4者間で調整した複数年の国際的な努力により、核セキュリティ分野で新たな一歩が刻まれたと強調。ハンガリーは同大統領の呼びかけ以降に国内からHEUを完全に除去した12番目の国になった。

最終的に、ハンガリーからは核兵器9個分の製造に十分な量のHEUを搬出。最後に残っていたHEU49.2kgは過去6週間の間に3便の航空貨物でロシアに輸送された。08年と09年および12年に実施した輸送でも190kgのHEUがロシアに移送されており、民生用原子炉で燃料として使用するため低濃縮ウラン(LEU)に希釈されている。

濃縮度20%を超えるハンガリーのHEUは元々、原子力研究所内のブダペスト研究炉で使用するため、ロシアから調達された。09年に同国の研究者らはDOEの国家核安全保障局(NNSA)と協力して、同炉をLEU仕様に改造することに成功。同炉ではそれ以来、危険な核物質を使用することなく健全な研究活動が続けられている。

DOEのE.モニッツ長官によると、ほんのわずかなHEUでも悪意のある者の手に渡れば大量破壊兵器の製造に使用することが可能。ハンガリーでの協力活動や米国が世界各国と結んだパートナーシップを通じて、テロリスト達が核兵器を入手出来ぬよう保証していくことが可能になると指摘した。

09年以降の国際的な連携を通じてHEUの完全な除去が行われたのはオーストリア、チリ、チェコ、リビア、メキシコ、ルーマニア、セルビア、台湾、トルコ、ウクライナ、ベトナムの11か国・地域。これらも含め、DOEがこれまでに世界の40か国以上から移送あるいは処分したHEUとプルトニウムの総量は5000kg以上にのぼり、25か国からは完全にHEUが取り除かれたとしている。


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