膵がんで実証試験へ 瀬田クリニック 粒子線と免疫細胞療法で

医療法人社団滉志会の瀬田クリニックグループは1日、兵庫県立粒子線医療センターと共同で、膵がんに対する粒子線(陽子線)治療後の再発・転移抑制を目的として、免疫細胞治療と粒子線治療を組み合わせた際の安全性と有効性を評価する臨床試験を実施すると発表した。

膵がんは初期段階では特徴的な自覚症状がなく早期発見が困難であり、診断時には治療が困難な程に進行しているケースが多い難治がん。現在では化学療法と免疫細胞治療の併用による治療効果が報告されているものの、未だ十分な結果は得られておらず、膵がんの克服を目指して新たな治療法の開発が様々な医療機関で試みられている。

今回の臨床試験で用いる粒子線治療は、人体を通過してしまう通常の放射線(X線)治療とは異なり標的に応じた深さで止めることが可能で、標的領域における線量が通常のX線照射よりも高く、大きな効果が期待でき、先進医療としても実施されている。ただし、局所的な効果が望める一方で、治療後に再発・転移する症例も多く、その後の生存率については満足な結果が得られていないのが現状だ。

粒子線治療と併用する免疫細胞治療は、体外で増殖・活性化した自己の免疫細胞を体内に戻すことでがん細胞の排除を目指す全身療法であり、標準治療との併用による再発・転移の抑制効果も報告されている。

今回の共同臨床試験は、免疫細胞治療を粒子線治療後に実施することにより、粒子線治療の課題である治療後の再発・転移の抑制を図る画期的な試みだ。再生医療新法や改正薬事法等、再生・細胞医療に係る法制度が整いつつある中、この治療の安全性が確認され、有効性が示唆されれば、今後、先進医療の承認取得や治験等を通じ、切除不能膵がんに対する新たな治療法の確立が加速されると期待される。

なお膵がんに対する粒子線治療を先進医療として兵庫県立粒子線医療センターで実施し、免疫細胞治療を瀬田クリニックグループ(東京・新横浜・大阪・福岡)で実施。得られた治療情報を臨床データとしてまとめ、兵庫県立粒子線医療センターと瀬田クリニックグループ臨床研究・治験センターとが共同で解析、評価を行う。


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