[インタビュー] 国際原子力機関で働く(3)−IAEA日本人職員に聞く−


知識管理コンサルタント 久住 涼子 氏

所属するナレッジマネジメントのコンセプトは広く、なかなか説明も難しいため、自分でも模索しているところがある。以前はフランス原子力庁内で欧州教育ネットワーク事務局に勤めていた。

もともと法律を勉強していて国際機関が果たせる役割について興味があったので、IAEAの様々な側面を知ることができて面白いと感じる。

海外に住んでいると特に、日本が活躍するニュースを聞いたり日本に行ったことのある人から日本のことを褒められたりすると嬉しい気持ちになるし、自分の中では日本に対して一番すばらしい国だとひいきする気持ちがある。また日本人の先輩たちが日本のいい印象を蓄積してきてくれたおかげで恩恵を受けていることを考えると、自分もきちんと接していかなければと思う。

知識管理専門家 花光 圭子 氏

アジア地域の原子教育ネットワーク(ANENT)を担当している。2006年の着任当初、同メンバーは12か国だったが、技術協力(TC)プロジェクトの進展につれ、現在19か国まで増えた。当初は日本も未加盟で、加盟にあたって関係者に尽力いただいた。

アジアから始まった教育ネットワークはその後、南米やアフリカ地域にも誕生し、3地域が連携するとともに、よいライバル関係にある。自身も各地域出身の同僚と、密接に仕事する環境にあり、まさしく多種文化や国民性に揉まれている。

仕事以外では、ウィーン国際センターにある様々な国連機関に勤める日本人スタッフやその家族、知人を対象に、ウィーン国際機関日本人会(UNVJ)というネットワークの運営に関わっている。原子力以外の分野に働く人たちとの交流は、刺激的で楽しい。

原子力エンジニア 八木 雅浩 氏

原子力の新規導入国に対し、整備すべき19の項目について、3つのフェーズに分け、1つ1つ整備していく協力をしている。また原子力発電所の新規建設にあたり、その国の産業界が参画できる可能性について探るほか、技術文書の作成やワークショップの開催などを行っている。

国際機関で働くにあたっては、できれば学生時代に少なくとも半年間くらいはインターンを経験してみるのがよいのではないか。学業を続けていくとしても、社会に一度出てみてからのほうが深みのある研究や仕事ができるはず。自分は30代後半で初めて海外で働き苦労したが、若い人には補助制度もあるので是非チャレンジしてみてほしい。

取材を通じ、各職員が原子力の将来に向けて誇りを持って取り組んでいる様子が伺えた。「原子力人材育成ネットワーク」では、IAEAへの勤務を考える人向けの情報を「国連機関応募の勧め」ホームページ(http://jn−hrd−n.jaea.go.jp/iaea/index.html)に掲載している。


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