米規制委、処分場の安全評価報告完成を指示 ユッカ山計画の審査が再開

米原子力規制委員会(NRC)の委員達は18日、ネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物処分場の建設認可申請手続きで安全評価報告書(SER)の完成・発行を準備するようスタッフに指示した。これは、米エネルギー省(DOE)が2008年に提出した認可申請について、連邦巡回控訴裁判所が今年8月に審査の再開をNRCに命じたのに対応する措置。委員らはまた、NRCスタッフが環境影響審査を完了させるのに必要な環境影響声明書(EIS)・補足文書の準備をDOEに要請しており、残された予算内で出来る範囲の作業を徐々に進めていく考えと見られている。

ユッカマウンテンでの処分場建設計画はオバマ大統領による打ち切り決定、および2012会計年度に認可申請審査の予算が付かなかったことなどを理由に、NRCがすべての審査活動を11年9月末で終了した。SERは同審査における主要な技術文書で全5巻組。2010年8月に導入部にあたる第1巻が発行されたものの、後続の巻は審査の打ち切りにより完成されず、規制上の結論を含まない非公式の技術評価文書が発行されていた。

しかし、11年度末時点で約1100万ドルの予算が放射性廃棄物基金に残っており、裁判所は「少なくともこれを使い果たすまでは法的に義務付けられた認可プロセスを速やかに継続すること」を職務執行命令としてNRCに要求。NRCはこの予算を最も効果的かつ生産的に活用するため、9月30日までの期間に関係者から幅広く意見募集するとともに、関連予算の情報収集を行っていた。

今回NRCは、許認可支援ネットワーク(LSN)に集められた数千点の関連文書についてスタッフが利用できるよう、NRCの非公開データベース・システムに掲載することを秘書局長に指示した。LSNは、同許認可手続きの中で発行される文書についてヒアリングを開く際、一般市民にそれらをネット上で自由に閲覧させるためにNRCが連邦規則に基づいて構築したが、これも審査の打ち切りとともに廃止されている。

SERとEIA補足文書の参照文献はいずれ、一般市民に公開予定ではあるものの、LSNのすべての文書を改めて閲覧可能とするには相応の予算が必要であり、同ネットワークの再構築は今回の指示には含まれていない。同審査で規制上の結論を早急に導き出すためにも重要プロセスであるヒアリングの完了、これを支援するLSNの再構築が不可欠であることから、そのための予算を議会が廃棄物基金の中から手当てできるか否かが大きな課題となっている。


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