ウランの転換で技術移転へ カザフとカナダが原子力協力協定

ウラン生産量で世界第1位のカザフスタンと第2位のカナダが13日に二国間原子力協力協定(NCA)に調印した。両国が規制品目の核物質や原子力機器および関連技術を輸出入するための法的枠組となるもの。実質的には、カナダの大手ウラン生産業者・カメコ社からカザフの国営原子力企業カザトムプロムへの技術移転を通じて、原発用燃料製造を目的とした両社のウラン製錬・転換協力を一層深めていく道が拓かれることになる。

NCAへの調印はカナダのJ.ベアード外相とカザフのA.イセケセフ副首相兼産業・新技術大臣がカザフの首都アスタナで行った。両国はともに、豊富なウラン資源に恵まれているものの、カザフにはまだ商業用原子炉は稼働していない。カナダ側はNCAによって「急成長しつつあるカザフの原子力市場にカナダの原子力産業がアクセスする機会が創出され、共同の研究開発や事業を拡大していくことが可能になる」と歓迎。カザフ市場に対する原子力技術や機器およびサービスの輸出、カザフへの投資促進により、カナダ原子力産業の成長と雇用創出につなげるほか、国際的な原子力安全とセキュリティも強化していきたいとの抱負を述べた。

カメコ社とカザトムプロムは2007年に結んだ了解覚書に基づき、翌年、カザフのウルバ冶金工場に容量1万2千トンの六フッ化ウラン転換設備を設置する合弁企業を49対51の比率で設立する計画に合意。この転換設備にはカメコ社の技術を採用することとし、両社は実行可能性調査の第1段階を開始することで意見の一致を見た。カメコ社はまた、カザフのインカイ鉱山を操業する合弁企業体の60%を保有しており、同鉱山の年間ウラン生産量を1040万ポンドまで倍増する計画も進めていた。

しかし、技術移転を含む転換設備計画では政府間のNCA締結が必須条件。カメコ社は12年の合意覚書に基づき、ウラン生産の増量計画その他のプロジェクトでFSやプレFSを実施しながらNCAの締結を待っていた。NCAおよびNCAの実施協定は今後、両国議会の承認と外交文書の交換をもって発効となる。


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