ナノ粒子吸着剤でセシウム吸収 産総研などが確認

産業技術総合研究所は11月20日、東京パワーテクノロジー、関東化学、日本バイリーン、阿部鐵工所と共同で、樹木の幹や枝などの植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、生じた焼却灰からプルシアンブルー(PB)ナノ粒子吸着剤により放射性セシウムを抽出・回収する技術を開発し、その有効性を福島県双葉郡川内村に設置した実証試験プラントを用いて確認したことを明らかにした。

この実証試験は、焼却、灰の除染(放射性セシウムの回収)までを一貫して実施することを目的としたもので、平成24年11月から川内村で実証試験を開始、今年10月末まで行った。汚染物の種類や焼却条件を変え、合計11回の焼却試験を実施、計10トン以上の植物系放射性セシウム汚染物を焼却し、まず約80kgの焼却灰にした。次に、焼却灰中の放射性セシウムを水に抽出し、その灰中の放射性セシウムの60〜90%を除去することに成功した。抽出された放射性セシウムは、灰の約500〜3000分の1、焼却前の植物系放射性汚染物の1万分の1以下の重量のPBナノ粒子吸着剤によって回収できる。これにより、今後設置される除染廃棄物用の中間貯蔵施設における必要容積を大きく低減することが可能になる。

今回の結果を基に、関連機関の協力の下、さまざまな企業と連携し実用プラントの開発を行い、植物系放射性セシウム除染廃棄物の減容などを実現するとともに、都市ゴミ、災害がれき、バイオマスなど他の可燃物の焼却灰に関する除染の推進に貢献することを目指す考えだ。


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