ITER計画が本格着工 主要施設のコンクリ打設を実施

国際熱核融合実験炉(ITER)の建設と運転を主導しているITER機構は、11日早朝に実験炉の格納建屋などトカマク複合施設のベースマットとなる「B2スラブ」で最初のコンクリート打設を開始したと発表した(=写真)。1985年のジュネーブにおける米ソ首脳会談を切っ掛けに開始された、人類初の核融合実験炉実現を目指す超大型国際プロジェクトがようやく、書類上の作業から目に見える形に移行する重要な節目を迎えている。

ITER計画には日本とEU、ロシア、米国、韓国、中国、インドの7極が参加しており、仏国南部のカダラッシュで2020年頃の完成を目標に作業が進行中。今回、ITER機構およびEUの担当組織である「フュージョン・フォー・エナジー(F4E)」の幹部が見守る中でコンクリート打設が行われたのは、鉄筋を組んだ免震ピットの北西の角、約550平方メートルの部分で、トカマク複合施設を構成する3棟のうち診断棟の立地場所に相当する。15区画に分けたB2スラブの一部分だが、実験炉格納建屋の部分では2万3000トンの重さを支える必要があるため、厚さ1.5mのスラブ全体で合計1万5000立方メートルのコンクリートと4000トンの鉄筋を使用予定。すべてのコンクリートを打ち終えるには約6か月を要する計算だ。

このコンクリートでは特別な配慮が必要とされており、安定性や水の透過性、ガスの閉じ込めなどの点で厳しい要件が課されている。このため、打設作業を担当するGTM建設は20を超える品質試験を実施。実験炉格納建屋が配置される中央部の配筋設計を改良したため、今後、数か月の間に鉄筋をさらに追加する計画で、GTM社では提案されたコンクリートの品質試験用の改良モックアップ配筋が現実のものになるとしている。

F4Eは、「様々な契約者の選定や設計活動も含め、5年に及んだ地道な準備作業が実を結んだ」と深い喜びを表明。安全とセキュリティという2つの誓約を同プロジェクトで今後も維持していくため、タイトなスケジュールや高い技術要件といった点でもチャレンジしていくとの抱負を述べた。


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