【年頭所感】エネ政策再構築を 経済産業大臣 茂木 敏充

平成26年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

安倍内閣が発足して1年が経ちます。アベノミクスの「3本の矢」により、日本経済は長引くデフレからの脱却に向かい、行き過ぎた円高も是正されています。政権発足後のGDP成長率は4四半期連続でプラス成長を続けており、まさに政権交代を経て、日本経済は「マイナス」から「プラス」へと転換しました。

ただ、これらの実感はまだ一部の企業や地域に限定されています。新年を迎えるにあたり、アベノミクスによる景気回復の実感を、1日も早く全国津々浦々まで届けられるよう、決意を新たにしています。

まずは、福島・被災地の復興・再生に向けて全力を挙げていきます。昨年12月には、原子力災害対策本部での議論を取りまとめ、福島の再生に向けた方針として、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」を閣議決定しました。

福島第一原発4号機においては、昨年11月より、使用済燃料プールからの燃料取り出しが開始され、廃炉・汚染水対策も新たなフェーズを迎えています。国が前面に立ち、予防的・重層的な対策の実施や、国の司令塔機能の一本化、内外の専門人材を結集した新たな支援体制の構築など、多面的な対策を実行し、福島第一原子力発電所の事故収束を着実に進めていきます。

また、早期帰還支援と新生活支援の両面から福島を支えるという方針の下、地元とも十分に協議し、福島再生の道筋を順次具体化していきます。合わせて、被災地における産業立地と雇用創出、事業再建を推進します。

企業の収益を向上させ、これを個人の賃金や所得の向上につなげ、消費が拡大し、再び企業の投資を呼び起こすという「経済の好循環」を実現させていきます。

さらに、我が国の優れた技術・商品で世界市場を開拓し、新たな成長分野としていくため、研究開発投資促進につながる税制の活用などによる、「世界に勝てる」研究開発の加速化、戦略的な国際標準の加速化、世界最速かつ最高品質の知財システムの実現に取り組んでまいります。

東日本大震災以降、我が国は新たなエネルギー制約に直面しています。化石燃料の需要増と価格上昇により、2001年には、第2次オイルショック以来、31年ぶりに貿易赤字を記録し、2013年は赤字幅が10兆円を超えて過去最大となる見込みです。1970年代、二度のオイルショックを様々な努力で克服したのと同様、目下のエネルギー制約を克服し、低廉かつ安定的な電力供給に向けた取組を一層進めるとともに、省エネの最大限の推進を図ってまいります。

こうした中で、エネルギー基本計画については、各エネルギー源の特徴を踏まえた、実現可能かつバランスのとれた計画とすることが重要であり、現実的かつ多層的な供給構造の実現と、いわば市場メカニズムが機能する柔軟かつ効率的なエネルギー需給構造の創出を目指します。また、原子力については、安全性の確保を大前提に、引き続き活用していく重要なベース電源として位置づける方針です。

高レベル放射性廃棄物の最終処分についても、将来世代に負担を先送りせず、処分地選定をしっかりと前に進めるため、政府一丸となり、国が前面に立って新たな取組をスタートします。

同時に、自由な電力市場を創設する、60年ぶりの電力システム改革を推進します。改革の第一弾として、昨年11月、電気事業法の改正が成立しました。本年の通常国会には第二弾の法案を提出するなど、大胆な改革を着実に進めてまいります。合わせて、今年からはガスシステム改革にも着手します。

さらに、燃料調達費の削減にも一層尽力します。シェールガスの生産拡大でガス価格が低下している北米からのLNG輸入の実現や、経済性に優れた高効率石炭火力の導入推進など、エネルギーコストの低減に向け、オールジャパンで取り組みます。

今年の干支は「午(馬)」です。馬は古くから神の使いとして、幸福を運んでくる縁起の良い動物とされています。今年こそ、景気回復の成果が地域の皆様にしっかりと運ばれる1年にするため、経済産業省一丸となって邁進してまいります。皆様のより一層の御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

(お断り 編集上、一部割愛させていただきました。)


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