セシウム高効率に除去 京大など 微粒子含む土壌も対応

京都大学は12月10日、豊原治彦農学研究科准教授と、アース、東京産業の共同研究によって従来洗浄分級が困難とされる75μm以下の微粒子分が多い農地土壌、側溝汚泥、焼却灰等の除染減容化技術実証試験を行い、これら全ての対象物について高効率に除去することに成功したと発表した。

この技術により、東京電力福島第一原子力発電所事故による除染廃棄物量を大幅に減容化できることが期待されるという。

この技術は、除染除去によって回収され、集約されたことにより、汚染が高濃度となった除染廃棄物のうち、土壌、側溝汚泥、田畑の表土、焼却灰等を対象としている。従来の洗浄技術では、汚泥や田畑の表土は土壌粒子として最も微細なシルト、粘土分が土壌成分の大半を占めているため、分離が困難だった。また、焼却灰についても、灰の粒径が微細であるため、同様だった。

そこで、ナノバブル水で洗浄分級することによって、放射性物質を土粒子や焼却灰から分離回収し、さらに、特殊なサイクロン分級システムを組み合わせることにより、セシウムが最も吸着されている2μm〜5μmの範囲の微粒子を効率よく分離回収するシステムを開発した。また、汚染土壌および焼却灰を減容化することにより発生する、高濃度放射性物質濃縮物からの重金属や放射性物質が再溶出することが懸念されているが、豊原准教授とアースで独自に開発した天然由来の資源からなる不溶化効果をもった吸着薬剤(アースプロテクター)を使用することで、これらを完全に防止することが可能となった。

さらに、使用する設備には、不溶化された状態の高濃度放射性物質濃縮物を安全に遮蔽容器に格納させる、無人自動格納装置がシステムに組み込まれているため作業員の被ばく防止も考慮されている。また、洗浄水に移行した放射性物質は洗浄水を再利用できることから、汚染水の発生・排出は無く、汚染の拡散はない。また、化学物質を一切使用しないことから、水処理設備がコンパクトになり、低コスト化はもちろんのこと、移動式設備としての対応も可能であることも大きなメリットになるという。


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