原子力の再稼働、影響大きく エネ研の来年度需給見通し 1次エネ供給、微減に

日本エネルギー経済研究所は12月20日、2014年度の我が国の経済・エネルギー需給見通しを公表した。

このなかで、原子力発電の再稼働は経済にも大きく影響すると指摘。再稼働がより進むケース(最大22基の年間フル稼働)の場合、審査が長引いて最大6基の稼働(年度の平均稼働月数9か月)に比べ、化石燃料の輸入額は1.5兆円の減少、GDP0.17%の押し上げ効果を見込んだ。

現状で審査に時間を要している原子力発電の稼働の状況により、大きくエネルギー情勢は変わる点が浮き彫りになった。

また同研究所の見通しでは、2014年度の1次エネルギー国内供給がマイナス0.3%と再び減少するとしている。経済活動の鈍化と節電・省エネルギーによる。最終エネルギー消費も再びマイナス0.4%減少する見通しで、産業・民生(家庭・業務)・運輸の全部門で、震災前の水準を下回ったままという低調を予測した。

エネルギー販売量に関しては、原子力が再稼働すると電力需給のひっ迫が緩和、電力販売量(電気事業者)は下期、産業の生産活動が回復基調になると見込んで、震災後初めての2年連続プラス0.1%とみる。大口販売量が電灯販売量を補うかたち。

二酸化炭素は2013年度の1221Mtをピークに減少すると予測するが、前年度比マイナス4.2%で高水準に変わりなく、エネルギー消費の低調に比べ二酸化炭素排出は多い状態が続くとみている。

また、同日公表された2014年の天然ガスの情勢分析では、世界的にみて2013年に欧州の輸入減少で前年実績割れしそうな状況からアジア中心に輸入が増え、2011年並みの2.41億トンに回復と予想。日本は輸入の8割を占める長期契約のLNGをベースに、2014年度の原油輸入価格が105ドル/bblとの前提のもと、14年度のLNG輸入価格を15ドル/MMBtuと予測している。

価格については2013年8月の天然ガス輸入価格は日本が16ドル/MMBtuだったのに対し、英国は10ドル/MMBtu、米国は3ドル/MMBtuで、2013年を通じて円安がさらに前年に比べ輸入額を1兆円程度押し上げると見ており、経済全体として国富が流出している状況は深刻な問題と認識を示している。


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