実機の製作に着手 巻線等に高い技術 大型TFコイル製造

「日本は産業界と一体になった技術開発力が強みです」(JAEAの多田ITERプロジェクト・ユニット長)というだけあって、日本は技術課題の多い、いわばチャレンジングな重要機器を分担している。トロイダル磁場(TF)コイルは核融合炉の炉内プラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる大型の超伝導コイルで、核融合の性能がこのコイルに大きく依存する重要な機器のひとつだ。ITER計画は、このコイル19基(予備1基)を製作の予定で、日本がそのうちの9基の製作を分担している。すでに分担のコイルの一部を発注、受注メーカーと一体となって長年の研究開発の実績を踏まえて実機の製作に着手している。

ITERで求められるTFコイルは、最大12テスラの高磁場により高温で高密度のプラズマを閉じ込める超伝導コイル。その大きさは幅9mで高さ14mのD形をした大型コイル、総重量は300トンにもなる。性能を左右するのは発生させる磁場、高い精度の磁場分布を実現するため0.1%以下の寸法誤差で製造できなければならない。

コイル導線の品質はもちろん、巻線技術などに高精度など優れた製造品質が求められる。たとえば巻線加工は、加工後の導体が高精度でラジアル・プレート(構造物)の溝に収まることが必要。D型コイルの曲率を加工精度として確保するさまざまな工夫と熟練の技を結集して初めて可能となる製品で、JAEAと関係メーカーが一体となって長年蓄積してきたノウハウや経験が投入される。


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