「事故に学ぶ姿勢」強調 新潟県知事 東大院で意見述べ

新潟県の泉田裕彦知事と前IEA事務局長の田中伸男氏との原子力問題に関する討論が10日、東京大学(本郷キャンパス)で行われた。同学公共政策大学院の教授を務める田中氏の招きに応じ討論に臨んだ泉田知事は、原子力の安全・防災対策について、07年の中越沖地震による柏崎刈羽発電所の被災経験も踏まえ、立地地域の視点から意見を述べた。

討論で、田中氏が、グローバルな視点から、「資源の限られる日本が原子力を持たないオプションは考えられないと思う」として、中長期的なエネルギーミックスの見通しについて尋ねたのに対し、泉田知事は、原子力発電の安全対策や高レベル放射性廃棄物処分に係るコストを指摘したほか、上越沖のメタンハイドレート確認にも言及した上で、中東に石油を依存する日本のエネルギー供給体制が変わる可能性などを述べた。また、柏崎刈羽発電所の再稼働に関しては、「議論することは無理」と断言した。

これに関し、泉田知事は、「福島事故の総括なくして、なぜ世界最高水準といえるのか」と安全対策や規制行政の現状を批判したほか、07年の中越沖地震による柏崎刈羽発電所の被災経験と、それを踏まえ免震重要棟の整備に至った経緯にも触れ、「事故に学んで対策をとるのが文明社会」などと猛省を促した。

また、核燃料サイクルの停滞に関しては、国、電力への不信感とともに、使用済み燃料の青森県外への搬出が生じた場合、新潟県が処分地になる可能性にも言及した上、立地地域間の複雑な対立を引き起こす懸念を指摘するなどした。


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