各自の専門から「相場観」を 日本技術士会 放射線リスクでフォーラム開催

日本技術士会は昨秋、都内で、「放射線による被ばくリスクと放射線防護をどう考えたらよいか」と題するフォーラムを開催した。広範な専門分野の技術士を対象とするCPD(継続研鑚)活動の一環で、今回は、被災地の復興支援に携わった技術士からの要望に沿い、福島の現存被ばく状況を理解するために必要な、(1)放射線による身体影響の基本的理解(2)放射線防護の考え方と基準値の意味(3)事故直後の非常事態から現存被ばく状態までの汚染状況や健康影響――に関して、チェルノブイリ事故後の支援活動にも関わった山下俊一氏(長崎大学副学長)らより講演を行い、参加者が自身の専門に照らしながら、「放射線リスクの相場観」をつかむことをねらった。

その中で、放射線による身体影響に関して講演を行った山口一郎氏(国立保健医療科学院生活環境研究部主任研究官)は、食品基準値の考え方・海外比較、内部・外部被ばくの相違について、参加者にクイズ形式で問いかけるなど、ユニークな方式でリスク受容の振れ幅、人々の考え方が多様なことを実感させた(=写真)。

また、フォーラムは、福島の復旧・復興のあり方について考えさせることもねらっており、丹羽太貫氏(京都大学名誉教授)から、事故の反省を踏まえた放射線防護に関する講演も行われた。

今回行事を企画した関係者は、「『安心』は専門家でさえも状況により判断が変化する」といった全体を通じた所感とともに、「われわれ技術士の役割はますます増していく」などと、このような取組を継続していく必要を述べている。


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