新生東電プラン 始動へ 「責任」と「競争」に対応、分社化も 政府が計画認定

政府は15日、東京電力の新たな総合特別事業計画を認可した。福島復興の加速化を最優先に据え、事故への責務を長期にわたり果たし、国民負担を最小化していくための経営基盤確立に向け、今回の改定では、賠償額、除染費用、廃炉費用、柏崎刈羽発電所再稼働の見通しや、電力システム改革への対応など、経営環境の変化を見据えた「新生東電プラン」との位置付けとして、16年度からのホールディングカンパニー制移行、同年度末からの経営評価を盛り込むなど、「責任」と「競争」の両立を目指し、ガバナンス強化を図るものとしている。

東京電力の総合特別事業計画は、原子力損害賠償支援機構法に基づき、12年4月に策定されたが、当時の想定をはるかに上回る巨額の財務リスクや廃炉費用の見通し、電力システム改革に伴う民間企業としての「競争」に係る経営環境の変化などから、抜本的な見直しを図った。新計画では、これら「責任」と「競争」の双方への対応を、同時並行かつ一体的に進めることを基本方針として、16年4月を目途に、「発電事業会社」、「送配電事業会社」、「小売事業会社」の三カンパニーと、事業持株会社からなるホールディングカンパニー制に移行することとしている。福島第一発電所については、グループ社員5万人の現場力や資金力をフル活用する枠組みを維持しつつ、会社の垣根を越えて人材・技術を集約する体制を構築するため、廃炉部門を統括する「廃炉カンパニー」(仮称)を設置する。

また、ガバナンスに関しては、16年度末に原子力損害賠償支援機構による「責任と競争に関する経営評価」を行った上で、自律的運営体制への移行を目指すほか、以降も、原則3年ごとに、評価を継続し、資本市場復帰(20年代初頭)、保有株式売却開始(20年代半ば)など順次、経営姿勢を定着させていく。

経営合理化については、10年間累計で4・8兆円のコスト削減を目指し、事故対応に必要な人材確保や、新陳代謝加速を図るため、50歳以上の社員を対象とする千人規模の希望退職、ベテラン管理職の役職定年の実施と福島選任化など、福島復興に向けた原資創出のため、「さらに踏み込んだ経営合理化」を断行する。柏崎刈羽発電所については、現在、規制委員会で審査中にあるが、収支計画上、14年7月からの6、7号機順次再稼働を織り込むなど、「仮置き」する格好だ。

新事業計画の発表に伴い15日、4月より会長に就任する數土文夫取締役は、本店で記者会見し、「会社の存続が国民から許されたことを肝に銘じ」との姿勢を示し、全社のリソースを総動員して、福島第一の廃炉、被災地の除染・復興に取り組む決意を表明した(=写真左)。また、「地域独占への安住」を省みて、メーカーの経営手法も取り入れ、競争を根本原理に据え「筋肉質でオープンな組織作りをねらう」などと、今後の経営に関する抱負を述べた。


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