コアに大量の水素存在 東工大など 地球の形成解明に一歩

東京工業大学の地球生命研究所は、高輝度光科学研究センター、京都大学、海洋研究開発機構と共同で、地球コアに大量の水素が存在することを突き止めた。17日に同学が発表したもので、惑星形成時に、地球が大量の水を獲得したが、その大部分をコアに取り込んだことを示す証拠とみられ、今後、太陽系外惑星の海水量推定、宇宙の生命惑星の普遍性理解にもつながる成果だ。超高圧超高温発生技術と、大型放射光施設SPring―8の高輝度X線を利用した高解像度マイクロトモグラフィー撮像技術を組み合わせることで成功したもの。

地球は、深さ約2900kmを境にマントルと液体コア(外核)に分けられているが、下部マントルは固体、外核は液体であること、外核を構成する鉄合金の融解温度がその不純物組成に大きく依存することなどから、マントル物質の融解温度を知ることが、地球深部の温度構造や化学組成の推定に大きな役割を果たす。

研究グループでは、物質を2つのダイアの間に挟み、超高圧下でレーザーを照射することにより超高温を発生させる「ダイアモンドビル」を用いた実験技術の開発を進めてきた。今回、この超高圧超高温発生技術と、SPring―8の高輝度X線を利用した高解像度マイクロトモグラフィー撮像技術を組み合わせることにより、融解時に見られる特徴的な構造を、微小試料内部に観察することに成功し、マントル全域にわたって正確な融解温度を決定することができた。

その結果、地球内部の温度分布、マントル・コア物質の融解温度の考察などにより、コアには重量にして0.6%の水素が含まれていることがわかった。コアにこれほどの水素が入るためには、惑星形成期に地球を覆っていたマグマオーシャンの中に、大量の水(地球全体の重量の1.6%)が必要で、これは海水量の80倍にも相当する。つまり惑星形成時に地球は、大量の水を獲得していたが、その大部分がコアに水素として取り込まれた可能性が高いことを示している。


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