森林・木材への影響議論 学術会議 放射能汚染考えるシンポ

福島原子力事故に伴う放射能汚染と森林・木材への影響について考える日本学術会議主催のシンポジウムが24日、同会議本部講堂で開催され、汚染実態、生態系における放射能移動・蓄積などに関する大学・研究機関の調査報告を受け、林業・木材関連産業再生のあり方について議論が行われた(=写真)。

シンポジウムではまず、森林総合研究所の高橋正通氏が、福島県内3地域で実施している放射性セシウムの濃度変化の調査について説明した。それによると、12年の調査で、樹種による違いもあるが、葉や枝の放射性セシウムは前年より減少したのに対し、土壌への分布が増加、一方、木材中の放射性セシウムについては、スギで、辺材から心材へと移動したことが示されたなどとしており、森林作業や木材の安全性確認のため、今後も長期モニタリングの必要があることを述べた。

山形大学農学部の早尻正宏氏は、福島県内の林業への影響に関し、被災地域に組織される「森林組合」の実態について述べた。早尻氏は、長期避難や経営の悪化により、担い手を失う組合員も多いことを憂慮したほか、除染事業やがれき処理など、震災関連事業への依存、シイタケ原木の壊滅といった打撃を受ける一方で、住宅再建に伴う需要増のみられる組合があることにも触れた。

また、東京大学農学生命科学研究科の石田健氏は、福島のウグイスに関する調査事例を紹介し、引き続き多くのデータを収集し分析する必要を述べるなどした。

林野庁・自治体の進める森林再生事業の一方で、原子力損害賠償の進まぬ「森林組合」の現状を指摘した早尻氏は、全体討論の中で、「汚染された森林を再生する価値」を考え直す必要を訴えたのに対し、石田氏は、「森林利用には、まだ未開拓の部分がある」などと前向きな考えを強調した。


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