段差昇降やアーム作業実演 災害対応ロボット 全国から最新技術が集結

福井県と若狭湾エネルギー研究センターが主催する「災害対応ロボット技術交流会」が24日と25日、福井県敦賀市で開催された。原子力発電所での緊急事態をはじめ、自然災害や火災などにも対応できるロボット技術が一同に会し、2日間で約1000名が来場した。

開会式(=写真右)では交流会参加者や見学に来た地元の園児たちが見守る中、杉本達治・福井県副知事らがテープカットを行った。

続いて、須藤治・経済産業省製造産業局産業機械課長が、平成26年度の同省の政策について、インフラ点検・災害対応ロボット開発支援分野を中心に基調講演を行った。ロボット市場は、現在の6000億円産業から2020年には2.8兆円、2035年には9.7兆円となることが見込まれるが、普及拡大には利便性と安全性の向上および低コスト化が課題であるとした。

パネル討論(=写真右下)では、コーディネーターの田所諭・東北大学大学院教授が、災害発生時から(1)数日間の緊急対応(2)数か月にわたる復旧(3)数年にわたる復興(4)長期間にわたる災害予防――と様相が変化するにともない対応すべきロボットへのニーズも変わってくると説明。高所・狭所や被ばくなどの危険がある現場において、遠隔的・自動的な操作が可能なロボットが人間に代わり精確に情報収集し復旧作業を行うことで、効果的かつ効率的に対応を進めていけるとしたほか、福島第一原子力発電所内でのロボット活用事例についても紹介した。また、天野久徳・消防庁消防研究センター火災災害調査部長、松野文俊・京都大学大学院工学研究科教授、川妻伸二・日本原子力研究開発機構福島技術本部技術主席、富森順・日本原子力発電原子力緊急事態支援センター所長が、それぞれの立場から災害対応ロボットの実用化に向けて意見を交換した。明確なニーズのもとユーザーが深く開発に関わることが成功事例につながるという意見の一方で、ニーズに固執しすぎずに必要な機能などのバランスを技術者として見極めつつ開発していくことが重要だとする現場の声もあった。また、過去の知見を活用すること、地元の企業と結び付くこと、企業として利益の出るロボットを作ることなども次の開発へつなげるため大切と強調された。

展示エリアでは、災害ロボットの研究開発や製品化に携わる25の大学や団体、メーカーなどの関係者が実物やパネルなどを出展し、説明を行った。

災害現場を模したステージでは、ロボット作業の実演が行われた。ヘビ型の形状で配管内やがれきの隙間など狭いところにも進入できるロボットや、強力かつ操作性に優れたアームで重量物の搬送やドアの開閉もできるロボット、リモコン等による遠隔操作で段差のある不整地も走行できるロボット、未知領域の障害物を検知するレーザー距離センサーや災害現場に取り残された人を発見できる熱センサーを搭載したロボット、転倒防止機能または自動起立機能付きのロボットなど、様々な特質を備えた研究成果が紹介された。

ロボット技術体験コーナーでは、子どもたちが自由にミニロボットを操作したり、中学生や高校生がロボットの組立教材を製作しながら仕組みを学んだりする教室が開催され、夢中で作業に取り組む姿が見られた。


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