ヒロシマ 「原爆ドーム」補強工事へ 垂直方向の耐震強化図る

広島市は1月28日、原爆ドーム(=写真)の耐震調査結果を発表し、被爆70周年を前に、補強工事に向けた設計を14年度中に行う方針を示すなどした。

原爆ドームは、原子爆弾投下の惨禍を後世に伝える「史跡」に指定されているほか、核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和希求のシンボルとして「世界遺産」にも登録されている。被爆で全壊は免れたものの、建物の風化は昭和30年代後半から激しくなり、募金などにより保存工事が行われてきた。

今回、市が実施したドーム壁体調査は、想定される最大級の地震(震度6弱)が発生しても、現状を保つことで、文化財としての価値を保全するとともに、公園内の安全性も確保するためのもので、構造体に与える影響を定量的に把握するためのコンピュータ・シミュレーションよる解析や、建材を抜き取っての破壊試験などを行った。その結果、サンプルの平均値として、せん断強度は当初想定の2倍近くあったが、引張強度は3分の2だったことから、垂直引張応力について、鋼材を壁に当てるなど、文化財の価値を損なわない可逆的な手法により対策を講じることとした。


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