PRAめぐり議論 DOE次官補 「ベストプラクティスとして活用を」

確率論的リスク評価(PRA)日米ラウンドテーブルが20日と21日、都内で開催された(=写真)。今回のラウンドテーブルは、2013年に茂木経産相が米国に提案し、11月に米国エネルギー省(DOE)の協力を得て実現した。

開会挨拶で、中西宏典・経産省大臣官房審議官は、日本は安全向上に努めてきたが特に外的事象分野での確率論的評価が弱く、米国のPRA活用例を学んでいきたいとした。P.ライオンズDOE次官補は、米国で10年ほど進めているPRAが日常の発電所運転に役立っているとし、国際的なベストプラクティスとして活用してほしいと語った。

基調講演では、G.アポストラキス米国規制委員会(NRC)委員が、米国のリスクマネジメントの歩みを説明。従来の決定論的評価もリスクベース型評価もともに不完全であるため、双方を組み合わせリスク情報に基づくアプローチで補完することが重要とした。

更田豊志・原子力規制委員会委員は、PRAについて外的事象の評価手段として一定の有効性を認めつつも、深層防護の概念こそが重要などと述べ、その役割は限定的との考えを示した。

B.J.ガリック元原子力廃棄物技術評価委員会議長は、福島第一原子力発電所事故でPRAの考え方が至らなかったところを日本でリスク評価をもう一度やり直すべきだとし、一般の人が理解を深められるよう事故時の対応をきちんと示していくべきだと力説した。

近藤駿介・原子力委員会委員長は、事故の原因として、シビアアクシデント対応が不十分であったことや意思決定がうまくいかなかったこと、規制を超えた安全を求めてこなかったことなどが指摘されたとし、リスク評価に不確定要素があっても予期せぬ事象に対して対応できるよう多様性のある方策を追及し、常に改善していくべきだとした。

21日には、八木誠電気事業連合会会長が、関西電力を例に、原子力安全文化の醸成や、福島第一発電所事故を受けリスクマネジメントツールとしてのPRA活用強化が全社共通の経営課題となっていることなどを述べた。その上でPRA手法の活用促進に向け、基盤技術を高度化し人材育成が図れるよう米国との連携をさらに深めたいとした。

今後については、日米で関係者が情報共有を進めるとともに、次回以降も、経済産業省と米DOEを事務局としてタスクチームを立ち上げ、日米合同で取り組むことを検討することになった。


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