「研究開発を行うべき」 JAEA評価結果 高温ガス炉・水素製造

日本原子力研究開発機構は4日、高温ガス炉、およびこれを利用した水素製造技術の研究開発について、炭酸ガス排出量削減に寄与する重要性から、「研究開発を行うべき」とする外部有識者の評価結果を発表した。

原子力機構では、固有の安全性を持ち、熱供給により発電以外に水素製造への利用可能性もあることから、高温ガス炉の基盤技術確立を目指し、高温工学試験研究炉「HTTR」の運転・試験を進めており、10年3月には、原子炉出口冷却材温度950℃で50日間の高温連続運転を達成している。

このほど、今後の研究開発のあり方を検討する有識者評価委員会による評価結果では、熱利用産業・運輸部門における炭酸ガス排出量削減に貢献するため、原子力エネルギーによって熱需要に応える目標は重要だとして、日本が、その最も有望な技術の1つとして、高温ガス炉とこれによる水素製造技術を持つ必要があるとしている。その上で、750℃の高温ガス炉リードプラントの建設や、950℃の超高温ガス炉に向けた研究開発を、産業界他、関係各所と強く連携して推進していくことが重要だと述べている。

また、これによる水素製造の試験計画に関しては、日本の水素社会への対応状況に即した取組が必要だとしている。

高温ガス炉は、熱容量の大きい黒鉛が炉心構成材として使用されていることなど、炉心設計上の特徴から、冷却材喪失のような事故時においても、自然現象だけで止める、冷やすことのできる固有の安全性を持っている。

また、今回評価結果で、高温ガス炉による水素製造技術の導入効果・将来展望として、世界の熱需要から1万7000基相当の市場規模が見込まれるとしたほか、熱出力600MWの高温ガス炉10基導入で、日本の炭酸ガスを約1000万トン削減でき、約600万台の燃料電池車に水素供給が可能などと試算している。


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