官民連携で受注実績 インフラ輸出促進 成功の方程式さぐる

内閣官房経協インフラ戦略会議、経済産業省、外務省、日本貿易振興機構によるインフラシステム輸出促進公開シンポジウム『インフラ輸出の更なる加速に向けて――案件発掘・形成力の強化』」が3日、都内で開催された。

松島みどり経済産業副大臣は開会挨拶で、現政権が積極的なトップセールスを展開していると述べ、石油ばかりでなく石炭や原子力を含めて日本と連携を深めたいと口を揃える中東諸国の例などを紹介した。

和泉洋人・内閣総理大臣補佐官は、インフラ受注に向けた政府の取り組みと実施状況について特別講演を行い、インフラシステム輸出戦略の施策体系として(1)企業のグローバルな競争に向けた官民連携の推進(2)インフラ海外展開の担い手となる企業・地方自治体や人材の発掘・育成支援(3)先進的な技術・知見等を活かした国際標準の獲得(4)新たなフロンティアとなるインフラ分野への進出支援(5)安定的かつ安価な資源の確保の推進――の5本柱を挙げた。

続いてインフラ受注の2つの成功事例の講演が行われた。光冨眞哉・日立製作所交通システム社CSO兼経営企画本部長は、リーマンショックや政権交代など様々な障壁にぶつかりながらも、日本の国を挙げてのトップセールスや金融機関からの強力な支援など官民連携で成功に結び付いた事例として、英国都市間高速鉄道車両プロジェクトの受注までの歩みを紹介した。伊勢谷泰正・日揮取締役事業推進プロジェクト本部長は、インド・チェンナイ工業団地開発の事例を紹介し、成功の方程式として(1)官民連携(2)パートナー選定と信頼関係構築(3)リスクマネジメント(4)信念――を挙げて、日本人の約束順守への責任感や組織に対する忠誠心が世界で高く評価されており日本企業がインフラシステムを輸出する力を持っていることを強調した。

2人の講演者に喜多敏彦・双日常務執行役員機械部門長(日本貿易会経済協力委員長)、渡辺隆也・三菱重工業エネルギー・環境ドメイン事業開発・ICT推進室調査役、野田由美子・PWCパートナーPPP・インフラ部門アジア太平洋地区代表、黒田篤郎・内閣官房内閣審議官が加わり、松尾博文・日本経済新聞社編集委員兼論説委員をモデレーターに迎えたパネル討論(=写真)では、世界標準規格等のルール作りに日本が関わることの重要性や日本の自治体が持つ都市開発ノウハウを活かしたアプローチの提案など、多様な意見が出された。

横尾英博・経済産業省貿易経済協力局長は閉会挨拶で市場の声に耳を傾け相手国の利益を考えた「ソリューションの提供」こそインフラ輸出の本質だと語った。


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