自主的安全向上WG 「安全神話との決別」を提言 リスク管理の強化など 「全体最適の追求」も

原子力の事業者による自主的な安全性向上のあり方を検討する経済産業省のワーキンググループは14日、議論の取りまとめとなる提言文書を概ね了承した。「安全神話」との決別を第一に掲げ、13年7月より、安井至氏(製品評価技術基盤機構理事長)を座長とする有識者委員に加え、産業界からもオブザーバー参加も得て議論してきたもの。

提言では、福島第一原子力発電所事故の教訓を出発点として、(1)低頻度の事象を見逃さない網羅的なリスク評価の実施(2)深層防護の充実を通じた残余のリスクの低減(3)外部事象に着目した事故シークエンスおよびクリフエッジの特定とレジリエンスの向上(4)「リスクガバナンス枠組み」の構築・各原子力事業者の適切なリスクマネジメント(5)軽水炉安全研究の重点化とコーディネーター機能の強化――を幅広く実践していく必要があるとして、ロードマップを描いている。

その中で、リスク評価については、不確実性の大きさに応じ適切な安全対策を図る考えから、確率論的リスク評価(PRA)やストレステストの実施などを、重層的に行うべきとしており、PRAを用いたリスクマネジメントのメリットを実感するために、事業者における部署・人材の拡充とともに、既設炉での外的事象も含め対象とし、実機データを用い実践することが重要と述べている。

また、これら事故を教訓とした取組を、着実に進め、根付かせるため、(1)批判的思考や残余のリスクへの想像力等を備えた組織文化の実現(2)国内外の最新の知見の迅速な導入と日本の取組の海外発信(3)外部ステークホルダーのインボルブメント(4)産業界大での人的・知的基盤の充実(5)ロードマップの共有とローリングを通じた全体最適の追及――を求められる姿勢として掲げている。

今回のロードマップには、特段、時間軸を明記していないが、政府に対し、アクションの進捗状況について、適宜のタイミングで共有し、修正を図るなど、コーディネーションを行う場を設けるべきと求めている。


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