処分地サイト選定に活用 NUMO 確率論的評価手法で報告会

原子力発電環境整備機構(NUMO)は6日、都内で、放射性廃棄物の地層処分事業に際し影響が考えられる自然現象について、超長期の将来予測に伴う不確実性への対応策として検討を進めてきた確率論的評価手法の技術開発に関する報告会を開催し、海外専門家も交え議論した(=写真)。

日本国内では、太平洋プレートとフィリピンプレートの沈み込みに起因して、火山活動、断層活動、隆起・浸食などの自然現象が生じているが、地層処分のサイト選定では、将来にわたって、これら自然現象の変動による影響を受けやすい場所を回避する必要がある。将来の自然現象を予測する方法として、過去から現在までに発生した変動の傾向を明らかにし、その傾向を将来へ当てはめる決定論的アプローチをNUMOは用いてきたが、10万年を超える超長期においては、評価に大きな不確実性が伴うことから、海外の地層処分分野では確率論的なアプローチが合わせて用いられている。

確率論的評価手法の地層処分事業への適用としては、火山活動、断層活動、隆起・浸食などの地層の著しい変動に関するハザードマップを示すことによる対象領域・サイトの評価や、対象サイトで生じる事象の地層処分システムへの影響に関するシナリオの起こりやすさを定量的に示すことによるリスク論的安全評価が、活用策としてあげられている。

報告会では、発電所敷地内の活断層問題でも調査に関わっている英国シェフィールド大学のN.チャップマン氏を座長とするパネルディスカッションが行われ、国内研究者からは、プレートの動きと地震発生のメカニズムを説明した上で、科学の現状・限界を一般の人たちに理解してもらうべきとする意見や、火山活動に関し、長い休止期を含む場合と含まぬ場合で確率評価が違ってくるなどとして、適用に際し精度の高いデータを求める意見があった。

これらに対し、海外専門家からは、アルメニアにおける火山活動評価への適用例を示し、確率論的評価手法の国際的な流れを指摘する発言もあり、チャップマン氏は、終わりに、「色々な知識を包含してサイト選定を進めていかねばならない」と述べ、NUMOにおける地層処分事業の進展に期待した。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで