仏国との原子力協力を強化 中国がリサイクル施設建設へ

中国と仏国は3月26日、国際安全保障や地球温暖化防止などに加えて、民生用原子力を含む複数の経済分野で両国の協力関係を強化していくとの共同声明を発表した。約30年前、中国の原子力発電黎明期に広東大亜湾原発等の建設で協力関係を結んだ仏国が、商業規模の使用済み燃料の再処理など燃料サイクル全般にわたって協力の枠組を拡大。英国の新設計画における両国のパートナーシップ強化にも言及したほか、両国の原子力企業間で同日に締結した個別の協定についても明らかにしている。

今回の共同声明は、両国の国交樹立50周年を機に中国の習近平国家主席がパリでF.オランド仏国大統領と会談したのに併せたもの。原子力分野においては、新規原子力発電所の建設・運転を始め、高いレベルの安全セキュリティ基準の遵守と環境保全、使用済み燃料の再処理、およびウラン採掘に至るまで、燃料サイクル全般にわたって、両国産業界と関連機関が協力努力を重ねていくよう促す。

また、英国でEDFエナジー社が進めているヒンクリーポイントC計画、およびその他の新設計画の実施で共同歩調を取るほか、EDFの協力により中国広核集団有限公司(CGN)が広東省台山で進めている2基の欧州加圧水型炉(EPR)建設計画でも長期的な連携関係を構築するとしている。

両国企業間の合意

この関連でCGNは2010年にEDFと結んだ原子力分野の協力協定を更新。原発の運転・維持やエンジニアリング、研究開発に加えて、最も厳しい安全基準の保証という共通目標についても協力を継続する。両社はまた、英国原子力市場でEDFと中国企業の産業協力を発展させるための議定書に調印した。

仏アレバ社は、民生用原子力分野で両国の戦略的パートナーシップが昨年、30周年を迎えた点を強調。中国で年間800トン規模の使用済み燃料の処理・リサイクル施設を建設するプロジェクトについて、同社と中国核工業集団公司(CNNC)が昨年4月に基本合意した項目の推進のため、アレバ社のL.ウルセル社長兼CEOとCNNCの孫勤薫事長が協定に調印した。同プロジェクトに関する産業交渉は順調に進展中で、タスクや責任の配分を特定する技術協議は日程に沿って最終段階に到達。ほどなく商業段階に移行するとしている。

両社はこのほか、同施設の将来的な操業やメンテナンス支援に対する協力の拡大を計画。今後数年間に中国が堅実な成長を遂げると予想される使用済み燃料関係事業の実施チェーンについても協力していく考えだ。

両社は今回、さらに2件の追加協力協定を締結しており、うち1件はアレバ製のデジタル式・計装制御(I&C)系「TELEPERM・XS」を中国の原子力市場に供給するのが目的。このために設立する合弁事業体にはアレバ社とCNNCが49対51の比率で出資することになる。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで