英ONRが法定の規制機関に 審査料による経費回収率を98%へ

英国の原子力規制局(ONR)は3月31日、ONRが1日付けで政府・保健安全執行部(HSE)の外局という立場から、「2013年エネルギー法」に基づく独立採算制の公共安全規制機関に変わると発表した。2011年に開始された独立法定機関への移行手続きがようやく完了したもの。同時に、2014/15年の年次計画と新たな実施方針声明を公表しており、ONRが国民への透明性や説明責任を重視するとともに、均衡性、整合性の取れた規制原則に基づく近代的な組織として、民生用原子力関連の安全セキュリティ業務、および放射性物質の輸送に関する規制を一元的に実施していくとしている。

ONRのJ.ジェンキンス長官(=写真)は、「立場が強化されたことにより、英国のエネルギー・ミックスの中核を原子力産業が担うという将来に向き合っていく準備が出来た」と歓迎。原子力産業界の変化に迅速に対応できるだけの柔軟性が財政面や運営面でもたらされるだけでなく、優秀な人材を引き付け、保持することも可能になると指摘した。

最新の年次計画

14/15年の年次計画によると、ONRの優先的な規制事項はまず、セラフィールド施設の危険性低減と復旧、基準の改定や独自の監視等の維持を通じて適切な質とコストによる原子力規制を執り行うこと。そして、新設計画関連の点検・評価・許認可体制構築と包括的設計審査(GDA)の推進だ。

ONRは日立GE社製・ABWRのGDA審査において、今年8月までに第2ステップの審査報告書を完成させる計画。ここでは英国の規制体制の中で、提案された設計概念の根本的な受容性を審査するとしており、許認可の発給を阻む可能性がある安全上の欠陥などを特定する。この段階で障害のないことが確認されれば、審査は第3ステップに進む。

ONRはまた、ウェスチングハウス社製・AP1000の審査を再開する予定。同設計には2011年、安全面に関する暫定的な設計容認確認書(iDAC)と、環境影響に関する暫定設計容認声明書(iSoDA)が発給済みである。

財政戦略に関しては、原子力産業界からの料金収入による経費回収率を98%まで引き上げる。年間のプログラム予算として民生用原子炉関係の1670万ポンドを含め総額6270万ポンドを見込む一方、収入の方は事業者からの料金が4280万ポンド、GDAの審査経費として1720万ポンドとした。また、原子力保障措置など、ONRが政府のために直接請け負う作業の対価として雇用年金省から270万ポンドの補給金が提供されるとしている。


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