原子力で気候変動政策 K.トン在日米国大使館首席公使

米国は、オバマ大統領の気候変動対策行動計画のもと、原子力発電所の新規建設により設備容量を拡大している。同計画は(1)気候変動による影響に備えての適応(2)気候変動解決に向けた全世界での国際協力(3)温室効果ガスの排出削減――から成り、原子力発電はその中核であると言える。

米国の電力需要は2040年までに25%増加し、電力供給全体の20%を原子力が担うと予想されている。

オバマ大統領は繰り返し米国のクリーンエネルギーの重要性を語っており、2035年までに電気の8割をクリーンエネルギーで担うと野心的な目標を掲げている。2012年の一般教書演説では、米国内のあらゆるエネルギー源開発に向けた戦略を語っており、増大する需要を満たしつつ気候変動に対応していくには原子力を増やすしかないと語っている。米国では、運転期間延長を見据えた軽水炉の開発を行っているほか、現在5基が新規建設中である。

米国内の世論で、82%が将来の電力需要に対し原子力が重要な役割を果たすとしている。福島原子力発電所事故からまだ3年にもかかわらずこうした状況にあるのは、米国が福島事故に適宜対応して安全基準の見直しを行い、透明性を確保しながら国民と対話を続けてきたからである。

日本とは、今後も平和利用、核不拡散、核セキュリティ、原子力安全など、多岐にわたり協力していく。廃炉や除染への支援も継続したい。


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