環境派からの原子力支持 A.カダック元米国原子力学会会長

最近2つの重要な書簡が出された。まず、コロンビア大学のJ.ハンセンら4人の気候科学者が2013年11月、環境政策に影響力を持つ原子力反対団体に対し、より安全な原子力の開発と展開を支持するよう提言する書簡を出した。再生可能エネルギーなどは一定の役割を果たすが、信頼性の高い電力を経済的に供給できるほど十分な速度で拡大が見込めず、一方で今日の原子力は不完全ではあるがリスクを低減し廃棄物に対処するとともに経済性を高めることが可能な最新の原子力技術もあるとして、社会的便益に基づき原子力を促進する必要があるとした。原子力に反対し続けると人類は危険な気候変動を回避できなくなるかもしれないと警告もしている。また同時期に、原子力支持に転じた環境保護論者の考え方を描くドキュメンタリー映画「パンドラの約束」も公開された。

この書簡を受け、私はMIT原子力科学工学部元学部長のニール・トドレアス氏らと4人で、彼らの提起する問題に対して技術的な根拠を示しながら回答する書簡を、米国や各国の気候変動政策に携わるリーダーに送付した。この中では原子炉が現在も32か国で安全に電力を供給していること、化石燃料に比べ燃料費が安価で安定していること、現在のところ廃棄物は処分施設で安全に管理されていること、核拡散に直接つながるものではないことなどについて述べている。結論として、原子力は将来拡大する需要を満たすことができ、環境的にも再生可能エネルギー源に匹敵することから、我々は、環境・政策指導者達にこのメッセージを届けようとする気候科学者達の努力を支持する考えを示した。


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