海外の知見取り入れ進捗 廣瀬直己・東京電力取締役代表執行役社長

福島第一原子力発電所の事故により、3年を過ぎた今もご迷惑とご心配をかけていること、お詫び申し上げたい。

増田尚宏・元福島第二発電所所長をトップとする「福島第一廃炉推進カンパニー」を4月1日付で社内に設立した。廃炉に向けてあらゆるリソースを投入したいと考えている。海外の経験・知識も活用し、TMI事故当時NRCで現地責任者として指導を行っていたL.バレット氏ほか、IAEAやその他国際機関からも福島第一を視察してもらい助言を受けた。

安全改革に関しては、取締役会の諮問機関として、クライン元NRC委員長、ジャッジUKAEA名誉会長、大前研一氏、櫻井正史氏から成る原子力改革監視委員会を作った。第1回会合では、「天災と言ってはいけない。防げるべき事故を人事尽くしても防げなかった」として、もう一度事故を検証し直そうと2013年3月に原子力安全改革プランを打ち出した。

同プランでは、安全意識・技術力・対話力を向上するとし、比類無き安全を創造し続ける原子力事業者をめざしている。その1つとして、まず経営層からの改革が大事と考え、勉強会やIAEAワークショップ等に参加しながら日々安全文化を高める努力を積み重ねている。

賠償については、(1)最後の1人まで賠償貫徹(2)迅速かつきめ細やかな賠償の徹底(3)和解仲介案の尊重――の責任を果たしていく。また、福島の除染・帰還に向け、東電社員が任意で地域に滞在し、家の片づけや草むしりなどを手伝っている。

福島の復興には、拠点が集結してこなければならない。電力会社として何ができるかを考えた結果、世界最新鋭の石炭火力発電所を2つ福島に作ることとし、地元の雇用や経済に貢献し、産業基盤を確立していく。

福島第一発電所の周りは3年前から時が止まっている状態。今ここで時を進めるために東京電力が動き出さないとならない。現状でできることとして、事故の教訓を共有し、世界の原子力安全に役立ててもらいたい。


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