前進のため苦渋の選択を 瀬谷俊雄・福島商工会議所顧問

1ミリSvにこだわる除染方針に疑問を感じている。除染しても仮置き場がなく、一時的に庭に置いて青いビニールシートをかぶせているのが現状だ。今後中間貯蔵施設まで運搬するにも問題は起こるだろう。広大な森林の除染にしても伐採するのか皮をはいでいくのか。線量値が独り歩きしていてコストも莫大になる。こうした現状をふまえ、「基準値は20ミリSvでも世界のスタンダードから問題ない値のはず」と、当時原子力担当大臣だった細野豪志氏に再検討をお願いしたこともある。

帰還困難区域とされている8町村では、いつまでも先が見えない状態が続いている。日本でもチェルノブイリのように、国が帰れない区域を指定して住むエリアを確保するケースがあってもよいのではないか。

一方でエネルギーについて考えると、日本は産業立国として、そしてオリンピックを成功させるためにも電気は必要だ。農家であっても栽培には電気を使う。エネルギー大量消費社会に決別できないのであれば原子力発電所の再稼働しかない。

事故が起きた時点で原子力発電の安全神話はもう壊れている。交通事故をひきおこすからと言って車は廃止になっていない。世界で現存する数百基の原子力発電所はこれからどんどん廃炉となっていくが、それ以上の勢いで新規炉が建設されている。だからこそ原子力発電所事故が起きた時には被害を最小限に封じ込める対策が必要だ。


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