樹種により低下傾向に差 農水省調査 森林内放射能分布

農林水産省はこのほど、福島県森林内の放射性物質の分布状況調査結果を発表した。福島第一原子力発電所からの距離が異なる川内村、大玉村、只見町で、森林総合研究所と連携し11年度より実施しているもので、土壌や落葉層、樹木の葉や幹など、部位別の放射性セシウムの濃度と、森林全体の放射性セシウム蓄積量を調査している。3町村に共通の調査樹種としてスギを選定している。

今回、発表された13年度調査結果ではまず、11年度に調査が行われた箇所で、高さ1mの空間線量率が70〜91%に低下していることがわかった。葉や枝、樹皮など、部位別の放射性セシウム濃度も、概ね低下傾向にあり、スギの葉の濃度は12年度の30〜72%に、アカマツの葉の濃度は8%に低下している一方で、枝の濃度は61〜103%、樹皮の濃度は48〜116%となった。また、落葉層の放射性セシウム濃度は、12年度の73〜101%、土壌は、0〜5cmで最も高く、5cmより深い層ではその10分の1以下の濃度で、下層にいくほど低い傾向にあり、12〜13年度にかけての0〜5cmの濃度変化は、増加と減少が混在し明瞭な傾向がみられなかった。

森林全体の放射性セシウム蓄積量は、初期沈着量の最も多かった川内スギ林で、次第に減少する傾向が示されたが、それ以外の調査地では、明瞭な変化の傾向はみられなかった。また、いずれの調査地も、森林の地上部の樹木に蓄積する割合が減少し、落葉層や土壌に蓄積する割合が増加していた。


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