急性放射線障害治療に糸口 東大医科学研

東京大学医科学研究所は、高線量の電離放射線にばく露されて起きる急性疾患の新規治療法につながるタンパク質TLR3の働きを発見した。同研究所のウェッブサイトに論文解説として掲載されたもの。

放射線に対する感受性は、臓器によって異なるが、消化管は非常に感受性が高く、5Gy以上では、腸管障害が誘導され、下痢、吸収低下、細菌性腸炎によって亜急性に死に至る。医科学研究所の研究グループは、マウス実験で本来ウイルスの侵入を感知し感染防御に働くTLR3と呼ばれるタンパク質が、放射線誘導性の消化管症候群の病態に密接に関わることを見出し、TLR3の働きを阻害することで、マウスの症状が顕著に改善されることを明らかにした。

本研究成果で、原子力事故による被ばくや、がん治療で腹部に照射した際の副作用により生じる消化管障害の治療への応用が期待される。


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