経済同友会 エネ自立社会に向け提言 再稼働するも「縮・原発」

経済同友会はこのほど、環境・エネルギーの視点から、30〜50年頃を見据えた中長期的に目指すべき社会像の実現に向け提言を発表した。「エネルギー自立社会」と「低炭素社会」の構築を掲げ、原子力発電については、「低炭素電源」と位置付け、継続利用の必要を述べる一方で、規制委員会による審査が不合格であったり、寿命に達した設備は順次廃炉を進め、原子力の依存度を下げる「縮・原発」が望ましいとしている。

提言では、エネルギー価格の高騰が国民生活や経済活動に深刻な影響を及ぼしていると懸念した上で、まず実施すべきこととして、(1)電力システム改革の断行による発送配電コストの削減徹底と需要者側の行動改革(2)徹底した安全審査体制のもと着実な原発再稼働(3)民生部門を中心とした省エネ強化(4)安価な燃料調達――をあげ、国、企業、国民があらゆる手を尽くすべきと訴えている。

その上で、中長期的に目指すべき「エネルギー自立社会」、「低炭素社会」の実現に向け、政府が13年9月に策定した「環境エネルギー技術革新計画」の確実な実行・加速化を図るべきとしている。また、課題として、原子力発電に関しては、規制委員会の体制強化や審査手順の見える化により、審査を迅速化し、また、依存度については、電力需要や代替エネルギーの技術開発・普及の見通しなどを踏まえ、定期的かつ柔軟に見直すべきとしている。さらに、使用済み燃料の処理・処分に関する技術の確立を、「最も解決困難な課題」とみて、高速炉技術の展開などにより、無害化するまでの期間を短縮するための研究開発に取り組むよう求めている。


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