スイス:ミューレベルク原発で住民投票 63%が即時停止に反対

スイスの首都ベルンを擁するベルン州政府は18日、州内で稼働するミューレベルク原子力発電所(KKM)(BWR、39万kW)の即時停止を求めた州民発議について住民投票を行った結果、全投票数の63.25%に当たる23万6285票の反対により、同発議が否決されたと発表した。これにより同原発は、所有者であるBKW社が昨年10月に発表していた通り、2019年に閉鎖される予定。スイス原子力フォーラムでは、「政治的理由による性急かつ時期尚早な閉鎖を望まないという州民の州議会に対する明確な意思表示だ」と評価している。

1972年に運開したKKMについて、連邦政府は09年に「国の安全要件を満たしている限り無期限に運転期間を延長できる」と判断。しかし、福島第一原発事故を受けて、同国の総発電電力量の約36%を賄う合計5基の原子炉は平均稼働年数を50年と設定し、34年までに順次閉鎖していくことになった。

KKMの場合は運開後50年目の22年まで操業が可能だったが、反対派住民がKKMの炉心シュラウドにヒビがあるとして提訴。法廷闘争が最高裁まで及ぶなど同炉の運転を可能とする年数が二転三転したことから、BKW社は長期運転に伴う規制面や政治経済的面での不確定要素を熟慮した上で、KKWを3年前倒しの19年に閉鎖すると決定した。

福島第一原発事故後、同国で初めての住民投票結果についてBKW社は、州民が同社を信用し、KKMの秩序立てた閉鎖を支持していることが判明したと歓迎。残りの運転期間の運転・維持費として、予定通り2億スイスフランを投資するが、このうち1500万フランは設備改良のための追加対策に充てるとした。また、この計画書を6月末までにスイス連邦原子力安全検査局(ENSI)に提出するとしている。


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