10倍超の速度を実現 原子力機構 U含有廃液の処理

日本原子力研究開発機構は2日、従来装置に比べ処理速度が10倍以上でコストは5分の1以下の新しいウラン含有放射性廃液の処理技術の開発に成功したと発表した。

この処理技術は、灯油などの溶媒により水に溶けた成分を抽出し、水に溶けず浮遊している微細な固体や高粘性な液体を液‐液界面に凝集させ浮遊物トラップに導いて回収する「エマルションフロー法」を利用したもの。同機構の人形峠環境技術センターの実ウラン含有廃液を使った試験では1時間に60〜90リットルを処理し、廃液中のウランを排出基準濃度以下の92%まで除去するとともに、固形浮遊物の同時除去にも成功。同じ装置を3台つなげれば、99.9%のウランを回収できる。

従来のイオン交換樹脂やキレート樹脂などによるウランの除去では処理速度や経済性が課題となっていたが、本技術ではコンパクトでシンプルな装置により簡便かつ低コストで迅速な処理が可能になった。

この技術は、工場排水の浄化や廃液からのレアメタル回収など、原子力以外の分野への応用も期待されるという。


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