全原協 「地域の信頼」をアピール 総会開催、国への要請決議

全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の定例総会が22日、都内で開かれ、昨今の原子力政策の状況がもたらした電力供給体制への悪影響、立地地域の経済疲弊などを懸念し、「地域の信頼なくして原子力政策の着実な遂行は成しえぬ」として、被災地復興、安全規制・防災対策、地域雇用対策など、重点事項を盛り込んだ国への要請書を決議した(=写真)。全原協は、原子力発電所を立地する全国23市町村で構成されている。

総会では、出席した立地自治体首長と、政府関係者との意見交換も行われた。その中で、福島第一原子力発電所を立地する渡辺利綱大熊町長は、事故炉に対する交付金継続の不透明さから、長期的な財政への不安を訴え、新たな地域振興制度の創設を渇望した。これに対し、経済産業省は、事故に伴う廃炉としての特殊性も考慮し今後、検討していく考えを示した。

また、原子力発電所を数多く立地する福井県内の町長も相次いで発言し、その中で、山口治太郎美浜町長が、新規制基準に係る適合性審査の遅れについて問いただしたのに対し、原子力規制庁の森本英香次長は、人員を増やして審査体制を強化しつつあるほか、優先炉の審査を通じて効率化につなげていくなどと述べた。一方、野瀬豊高浜町長は、エネルギー政策で、原子力が「重要なベースロード電源」と位置付けられているにもかかわらず、再稼働が進まぬ状況から、かつて再開時期を尋ねてきた住民も原子力発電所のない町作りを示唆しているといった地域の現状を訴えるなどした。

21日の福井地方裁判所による関西電力大飯発電所運転差止め判決に関する質問に対しては、原子力規制委員会の判断を尊重し、原子力発電所の再稼働を進める政府の方針に変わりはないことが経産省より明言された。


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