規制行政への注文相次ぐ 衆議院特別委 諸葛、澤氏らが意見

衆議院の原子力問題調査特別委員会(委員長=森英介氏〈自由民主党〉)は5月29日、原子力規制行政について、諸葛宗男氏(東京大学公共政策大学院)、澤昭裕氏(21世紀政策研究所)、西脇由弘氏(東京工業大学)、井野博満氏(東京大学名誉教授)を参考人に招き質疑応答を行った。

最初に発言した諸葛氏は、原子力規制委員会発足後の問題点として、コミュニケーションの低下をあげ、最近の大飯発電所運転差止判決にも言及しながら、重要な情報に関する国民への周知徹底や、関係者の声を十分に聴取する義務を課すことを強調した。

続いて意見を述べた澤氏は、大飯判決を受けて、安全に関し「必要条件から十分条件を求めるようになっているのでは」として、規制委員会については、「外部からのインプット遮断」により、新知見が取り入れられず、審査期間が長期化し、結果的に、事業者との関係が悪化しているなどと推察を述べた。その上で、原子力発電所を「経済的資産」と見て、規制委員会には、「止める」ではなく、「安全に稼働させる」使命があると述べ、工学的に合理性ある規制がなされるよう、法整備を図るべきと訴えた。

規制行政の体制に関しては、原子力法制に詳しい西脇氏が、米国NRCを例に、監査機能の強化、指針類や福島対応に関する専門的諮問委員会の設置や、PRA手法適用による規制基準の改善について意見を述べた。

また、井野氏は、世界で発生した原子力事故の経験から、「希望的観測に基づく評価が、いかに現実とかけ離れているか」とした上で、「ゼロからの出発ではなく、マイナス100からの出発」として、防災計画なども含め合わせ規制基準を抜本的に見直す必要を述べた。

これら参考人からの発言を受け、自民党原子力規制プロジェクトチーム座長で、民主党政権時、規制委員会設置法の制定に係った塩崎恭久議員は、「『国民からの信用』にプラスして『信任』を得ることが大事」とした上で、現在の規制行政に関し、立法側の趣旨が十分に伝わっていないのではないかと、さらなる議論の必要を述べた。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで