〈Topic〉理解されやすい言葉を選ぶ 限界を知り、適切に

 これは本質的な問題なのですが、言葉には言葉の大きな限界があるので、言葉に頼りすぎるというか、言葉に期待しすぎることは避けなければならない。その上で、できるだけ適切な言葉、理解されやすい言葉を選ぶことが大切です。最初に使い始めた言葉は、結局、ずっと使われ続けてしまうという傾向がありますから、最初からわかりやすい言葉を選んで使うということが重要なのです。最初から適切な言葉を選び、しかし、その言葉だけに頼りすぎないで、適切な説明のし方を考えるということが重要ですね。

用語や説明のし方を考える前提は、言うまでもなく、何をどう伝えるかです。危機情報については、迅速かつ正確であることが大前提。いくらわかりやすく伝えようとしても、情報自体が正確・迅速でなければ無意味です。

鳥井 事故の場合にはわかりやすいことが大事ですからね。

 そう思います。ですから、第一に迅速で正確な情報提供、その上で言葉が大事な働きをするというように考えるべきだと思います。

鳥井 明治維新で、日本に言葉が入ってきたときには、例えば「情報」という言葉にしても、森鴎外ですか、結構上手に訳されて、日本に合うように造語がなされていますよね。しかし、最近は直訳みたいな用語が使われています。

 明治時代と今とでは入ってくる情報量が違います。技術もそうですし、それから、そこから生み出されるものですね、そういうものも、かつてと比べものにならないような量が、しかもどんどん入ってくるようになりました。訳語が成立するためには、それが定着する時間が必要ですが、情報の流入はそれを待ってくれない。どうしても外国から入ってくる言葉をそのまま使ったり、翻訳するとしても直訳的になることは避けがたくなるでしょう。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで