保障措置への応用も期待 原子力機構 新たな非破壊測定技術開発

日本原子力研究開発機構はこのほど、核燃料物質で汚染された解体物などが詰められたドラム缶内に偏在する微量なウランの総量を、短時間で非破壊測定する技術を実証したと発表した。人形峠環境技術センターで、同機構特許技術の「高速中性子問いかけ法」(FNDI法)に基づくウラン量非破壊測定装置で実証されたもので、将来的に、IAEA保障措置査察への技術貢献も期待される。

原子力施設の廃止措置に伴い、このようなドラム缶の数量はさらに増加することが見込まれているが、原子力機構の人形峠センターでも、核燃料サイクルに関する研究開発で生じたウラン系廃棄物ドラム缶が多数保管されており、これに含まれるウラン量が法令上、計量管理の対象となっている。同センターでは、廃棄物中のウラン量を再評価するため、これまで、ドラム缶内の廃棄物に混在している核燃料物質・放射性核種からのガンマ線と中性子を受動的に計測する非破壊測定手法を開発し、測定を実施してきているが、内容物の種類や偏在により、短時間で実用的な精度を確保することが困難だった。

このほど開発されたのは、極短時間のパルス幅で少量の中性子を照射し、核燃料物質から放出されるわずかな量の核分裂中性子を非破壊で計測するFNDI法に基づく200リットル・ドラム缶用測定装置「JAWAS―N」(=写真)で、微量(10gU程度以上)の核燃料物質が偏在していても、総量を短時間(10分以内)で測定できる特長がある。


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