アルストムに提携を共同提案 三菱重工と独シーメンス

三菱重工と独シーメンス社は16日、両社が連合を組み、仏国の大手重電機器メーカーのアルストム社に対して広範囲な事業提携を行うための共同提案を正式に行ったと発表した。

三菱重工はアルストム社の蒸気および原子力タービン事業の40%と、同送配電機器事業の20%、同水力発電システム事業の20%を取得して3つの合弁事業を開始する方針。これらに31億ユーロを投入するほか、仏ブイグ社からアルストム社株を最大10%取得して安定的長期株主となる計画だ。

一方、シーメンス社はアルストム社のガス発電システム事業すべてを39億ユーロで取得する考えだが、仏国とドイツで移管した同事業の従業員を移管後3年間雇用することを保証している。

アルストム社に対しては米国のGE社が4月末、火力発電および再生可能エネルギー・送配電事業を合計169億ドルで買収すると提案した。今月2日までにアルストム社の取締役会が結論を出す予定だったが、仏国政府は、国内の雇用や投資、研究開発に影響が及ぶとして懸念を表明。これに対抗する戦略的提携を提案するようシーメンス社に要請したと伝えられている。これを受けて、シーメンス社では三菱重工に共同提案の誘いをかけて内容を検討していたもの。アルストム社は23日までにGE社提案に対する態度を正式に決定すると見られている。

共同提案の中で三菱重工は、アルストム社が今後も引き続き上場企業として大部分の事業について主導権を持つことを強調。エネルギーと輸送機器分野での持続的プレイヤーとしての同社ブランド強化を謳っており、同社の財務面にさらなる柔軟性を提供するとともに今後の成長に向けた革新的技術への投資が可能になると保証した。また、この提携により仏国内で1000名以上の雇用創出を約束するなど、仏国政府にも配慮を示した。

なお、仏国政府は5月中旬、外国企業による国内企業買収を阻止できる既存法令にエネルギーや輸送等の部門を追加しており、外国企業のいかなる買収提案も仏国経済相の承認が必要である。


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